＜4＞

見晴らしの良い草原で、イービルリングをはめたデジモンが暴れている。
ダークタワーを建てようと、色んなデジモンを働かせているようだ。
「さ、あたしたちもさっさと片して、ミミお姉さまを探しに行きましょう！」
「…お前、良くこっちについてきたよな…。」
アクィラモンにまたがる京に、ライドラモンにまたがった大輔が思わず呟く。
京がどれだけミミを慕っているか、わかっているからこそ、その行動がわからなかった。
「…ミミお姉さまを探しに行きたいよ。…でも、ヒカリちゃんとタケル君になら任せられるし…
大体、あんたが突っ走ったら伊織一人じゃ止められないでしょ？」
「…僕はこの二人を止められるか、不安なのですが…。」
口喧嘩を始めた二人の影で、伊織はため息とともに呟いた。

「ミミさんと別れたのは、このあたりなんですね？」
「うん、ミミがクワガーモンを引きつけるからって、ここで別れたの。
本当はアタシが囮になるって言ったのに、ミミったら…。」
涙声になるパルモンに、ガブテリモンが焦る。
「あの、ほら、泣きなさんな。ミミはんは必ずみつかりますよって。」
「パルモン！やだ、あなた、怪我をしてるじゃない！」
泣き出したパルモンを慰めようとしたヒカリはパルモンの傷に気づく。
「アタシは大丈夫だから、ミミを…ミミを探さなきゃ…。」
泣きながらミミを捜しに行こうとするパルモンに、なんと声をかけて良いか
ヒカリもティルモンも困ったように顔を見あわせた。
「ヒカリさん、すみませんがパルモンと一緒にここへ残って下さい。
タケルくん、一緒に探しに行ってもらえますか？」
「光子郎！！アタシも…！！」
「パルモンはここにいてよ。ミミさんが戻ってきた時、パルモンの怪我が酷くなっていたら
ミミさん、悲しむよ？」
タケルはパルモンに微笑んだ。
実際、パルモンの状態はあまり良いとは言えなかったし、ミミが歩いてきた場合も
考え、地上に誰かがいる方が良いと判断したからだ。
光子郎の考えを忠実に理解し、タケルとヒカリはパルモンを説得した。
「パルモン、ここでミミさんを待ちましょう。上空はタケルくんと光子郎さんにまかせて、ね？」
「……うん。皆、お願いね。」
動けない自分がいても足手まといになる事を理解し、パルモンはヒカリ、ティルモンと
地上に残る事にした。
「大丈夫ですよ。ミミさんは必ず見つけてきます。タケルくん、パタモン、お願いします。
…ガブテリモン、行こう！」
光子郎はパルモンを安心させるように笑うと、ガブテリモンに乗り、上空へ舞い上がった。