＜3＞

「この反応は…」
画面を見ていた光子郎は声を硬くする。
「デジモンカイザーです。皆さん、向かってください。」
「そんな！ミミお姉さまは…！？」
抑揚のない光子郎の声に、太一とヤマトは顔を見合わせる。
自分の感情を押し殺していた頃と同じ、声。
すべてをあきらめたような…。
目と目で太一とヤマトは言うべきことを確認すると、軽くうなずいた。
「大輔、京、伊織。お前たちはすぐデジタルワールドにいくんだ。そしてデジモンカイザーを
倒せ。」
「はい！！」
太一の勢いにつられ、３人は思わず大きく返事をする。
「タケル。お前はヒカリちゃんと一緒にデジタルワールドへ行き、空からミミを探せ。」
「はいっ！！」
待ってましたとばかりにタケル、ヒカリも大きな返事をする。
「ちょ…ちょっと待ってくださいよ。そんな…」
戦力を分担し、ミミを捜索することに光子郎は声を上げる。
「光子郎、お前はお前がしたいことをしろ。」
いすから腰を浮かした光子郎を、太一は厳しい顔で見つめる。
「状況判断、分析も大切だが、動いてみないとわからないって、習わなかったか？」
「太一さん…。」
「こっちの世界でのサポートは俺らで出来るから、お前も行って来い。ぺガスモン、
ネフェルティモン、ガブテリモンなら、空からも探せるだろう？」
「ヤマトさん…。」
２人の言葉に、光子郎は自分の気持ちを素直に口にした。
いとしい人を心に浮かべながら。
「僕は…ミミさんを助けに行きたい…。皆さん、協力してもらえますか？」
光子郎の願いを皆、力強く受け入れた。
「当たり前ッすよ！デジタルワールドもミミさんも、この俺にかかれば…！」
「京さん、デジタルゲートはどの辺りに開きますか？」
「この位置なら、お姉さまを助けに行くにも、デジモンカイザーを倒しに行くにも
ちょうど良いと思うの。…泉先輩、いいですか？」
「お願いします。」
熱くなる大輔をわきに、伊織、京、光子郎は現実問題に取り掛かっていた。
「大輔君、遊んでる場合じゃないんだけどな。」
にこやかにタケルは大輔に言う。
「やだ、タケル君。今の大輔君に言っても無駄よ？」
同じくにこやかに笑うヒカリに、大輔は呟いた。
「…もしかして、すっげーはずしてる…？」