＜5＞

森の上空から改めて周りを見まわす。
「タケルくん、なるべく低く飛んで下さい。ミミさんが何処にいるかわかりませんから…。
肉眼で探すしかない…。」
「…大丈夫ですよ。行きましょう！」
二人の眼下には希望の紋章の持ち主でも少しくじけそうになるぐらいの、広い森が広がっていた。

…はたして、この広い森の中からミミさんを見つける事が出来るのだろうか…

あらぬことを考えてしまい、慌てて頭を振る。
「――どうした？タケル。」
「…なんでもないよ。ペガスモン、行こう！」
光子郎さんの方が焦燥心に駈られているはずだ。
僕が慌てても仕方がない。

木々の隙間から空が見える。
―あれからどのぐらい経ったのかしら？
足の痛みは酷くなる。
遠くで音が聞こえる。
「…こわい…。」
ミミは無意識に自分の体を抱きしめる。
現実世界でもこんなに長く1人でいた事はない。
デジタルワールドではいつもパルモンがいてくれた。

もしかして、このまま1人なんだろうか…。

でも、きっと。

パルモンが連絡してくれる。
助けに来てくれる。

お守りとして持ち歩いているデジヴァイスを握り締める。
が、何も反応しない。
「…こんな時も反応してくれないの？」
もう、新しい子供たちがいるから？

ミミはそっとデジヴァイスをにぎりしめ、祈る。
大切な人の名をつぶやきながら…。