守るべきもの
話には聞いていたけど、実際にあってみて、びっくりした。
デジモンや他人を理屈無しに引き付ける人だって聞いていたけど…。
でも、そんな人、いないと思っていたけど…。
ミミお姉様なら、わかる。
「京ちゃん。」
やさしい、お姉様の声。
純真の紋章の持ち主にピッタリ。
でも、本当にアタシが受け継いで良いのですか？
お姉様の白い手が、アタシの肩に触れる。
「純真の力、上手に使ってね。」
ちょっと寂しそうな、お姉様の笑顔。
どうして、ですか？
どうして、タケルくんもヒカリちゃんも悲しそうな顔、しているの？
…前に、空さんもそんな顔してた…。
もしかして…。
「もしかして、アタシが紋章を受け継いでしまったから、パルモンが
進化できないんですか…？」
アタシが…！！
お姉様を、大切な人を苦しめているの…？
風が通りぬける。
お姉様とアタシの髪をなびかせる。
デジタルワールドにも風が吹くんだなぁと、ぼんやり考える。
お姉様がゆっくり瞳を閉じる。
そして、ゆっくり瞳を開ける。
真っ直ぐにアタシを見つめてくれる。
とらわれる、錯覚に落ちる。
その瞳に。
「そうじゃないけど…、そうかもしれない。でも、単に寂しいだけ。
紋章は形じゃないって、あの戦いの時、タグを壊された時に解ってるんだけど…。」
「お姉様…。」
その寂しそうな声に思わず駆け寄り、お姉様の手を取る。
すごく、はかなくて、きれい。
「アタシが守ります。純真の紋章も、デジタルワールドも、ミミお姉様も…。だから…。」
思わず抱きしめてしまった。
柔らかい身体。優しい匂い。
「京ちゃ…。」
お姉様が泣き出してしまったのを、感じる。
…ごめんなさい。でも…。
本当はミミお姉様に戦って欲しくない。
だから、紋章がアタシのものになってちょっと、安心している。
だって、お姉様ってば、自分の事、全然考えてないんだもの。
デジタマモンに武器も持たずに向かっていったりして…。
…誰にも、渡さない。
「アタシが守ります。」
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